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自己破産を申し立てるとき、裁判所が全ての銀行の通帳口座を調査します。債権者に対する代位弁済が完了するまで数か月間は借入のある銀行口座は使えません。ここでは、自己破産と口座凍結について解説しています。
自己破産の申立て時に申立人は銀行口座を裁判所に提出します。申立人が使用中の銀行口座だけでなく、使用していないが有効な銀行口座であれば残高がなくても提出の必要があります。裁判所が自己破産申立人の銀行口座を調査する理由は、「支払い不能状況」「保有財産」「お金の流れ」を確認するためです。
過去1年分の通帳のコピーを用意する場合がほとんどです。自己破産の申立の2週間前に記帳して提出します。ネットバンキングの場合は、ネットの取引記録を印刷して提出します。ネット記録で漏れる箇所は取引明細書を提出します。
全ての銀行口座の通帳の写しを裁判所に提出することが必要ですが、凍結される銀行口座は借入先の銀行口座です。ここでは、借入先の銀行口座の凍結について考えていきます。
自己破産申立人は、借入先の銀行口座が凍結されることに備える必要があります。借入先の口座凍結の影響には、「出入金の停止」「預貯金と借金の相殺」「口座の強制解約」があります。
銀行口座に給与や年金が振り込まれる状況であれば、お金を引き出せなくなります。銀行によっては入金制限もあります。
凍結される銀行口座の残額は、自己破産申立人の当該銀行の借金と相殺されます。仮に公的年金が振り込まれたお金であっても銀行口座に振り込まれていれば区別がつかないため、お金を引き出す手続きは大変になります。
銀行口座の残額と自己破産申立人の借金の相殺がされれば、銀行口座の使用はのちに可能になる場合が多いですが、返済不能となった場合に強制解約になることもあります。この場合、他の銀行口座の開設は可能です。
自己破産の申立ての銀行凍結開始のタイミングは、弁護士に依頼した場合は、銀行が受任通知を受けたときです。銀行口座の凍結から解除されるのは、1~3カ月後です。銀行口座の残額と借金の相殺が完了し、残りの借金を保証会社の代位弁済が完了後に、銀行口座の凍結は解除されます。
凍結後に入金されたお金は、法律的に相殺ができないため、払い戻しができることがあります。代位弁済との関係で払い戻し手続きが複雑になるため、凍結後にお金を引き出す場合は手間がかかるでしょう。
自己破産の口座凍結に対して申立人は注意が必要です。ここでは、口座凍結が決まった際の注意点について考えていきます。
給与や年金などを借入がある銀行口座が振り込み先であるならば、口座凍結で引き出せなくなります。給与や年金などの振り込み先を変更し、給与や年金が直ぐに引き出せるようにすることが大切です。
自己破産の口座凍結期間の生活費を考えておくことが大切です。公共料金を借金のある銀行口座に入れておくと公共料金を滞納してしまいます。公共料金の滞納は再度の振り込みや引き落としなど手続きが大変なので、自己破産を申し立てる前に引き落とし先を変更しましょう。
弁護士が受任通知をカード会社に送っても、すぐにクレジットカードの利用停止にならないケースがあります。この弁護士の受任通知の送付後にクレジットカードの支払いをすると、特定の債権者にのみ返済したとされ、自己破産手続き上の問題になります。事前にクレジットカードの引き落としがされないように、口座から預金を引き出しておくとよいでしょう。
ただし、自己破産申立て前に銀行口座から大きな金額のお金を引き出すと、裁判所から財産隠しとみなされる可能性があります。こちらも自己破産手続きに支障をきたす可能性があり、大きな金額のお金を銀行口座から引き出すときは、弁護士に相談するようにしましょう。
自己破産の申立て後に銀行口座を開設することは可能です。しかし、申立て前に銀行口座を開設したならば、その口座の通帳のコピーも裁判所に提出することが必要です。
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