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借金の返済が滞り生活が苦しいときは、債務整理をとにかく行いたいと考え、信用情報機関のブラックリストに載る影響まで考えられないかもしれません。特に自己破産は、他の債務整理よりもブラックリスト掲載期間が長く、自己破産後の生活に与える影響も大きくなります。ここでは、自己破産でブラックリストに載る影響について解説しています。
自己破産をすればブラックリストに載りますが、これは官報に載る自己破産者の情報とは異なります。ブラックリストは、民間の信用情報機関が金融機関の与信管理のために作成するものです。任意整理、個人再生、自己破産を問わず、債務整理をすると、この信用情報機関ブラックリストに掲載されます。
また、信用情報機関ブラックリストは、債務整理の対象となった金融機関の社内ブラックリストとも異なります。大きく分けて、信用情報機関による「信用情報機関ブラックリスト」と、金融機関などの「社内ブラックリスト」があると覚えておきましょう。
信用情報機関のブラックリストには、金融事故とみなされる個人情報が掲載されます。信用情報機関で多少の違いはありますが、「借金返済・カードローン支払いの長期間の延滞」「債権者の強制解約」「加重申込」「代位弁済」「債務整理」「回収不能」などが金融事故とみなされ、ブラックリストに掲載されます。
この中で、「借金返済・カードローン支払いの長期間の延滞」「加重申込」「債務整理」について詳しく考えてみます。
借金返済の長期間の滞納も債権者である金融機関の不利益行為に該当するため、ブラックリストに掲載されます。他の金融機関もこのブラックリストを参照すれば、その個人にお金を貸すことはないでしょう。気になる返済の延滞期間は、「3ヶ月以上の延滞」もしくは「61日以上の延滞」の繰り返しです。
加重申込は、申込ブラックといわれ、問題のある申込の場合は滞納よりもブラック情報とみなされます。複数のクレジットカードの申込は詐欺的でないとしても、加重申込として信用情報機関のブラックリストに掲載される可能性があります。
任意整理・個人再生・自己破産を問わず、債務整理は、債権者である金融機関にとって不利益ですから、金融事故とみなされます。金融機関に過払い金の返還請求をした場合は、過去のグレーゾーン金利の違法金利を請求する債務者の権利であるため、信用情報機関のブラックリストに掲載されません。しかし、過払い金の返還請求後に任意整理を行った場合はブラックリストに掲載されます。
信用情報機関のブラックリストに掲載されると、新規のクレジットカードを一定期間作成できなくなります。これは信用情報機関のブラックリストに掲載されているため、新しく契約するクレジットカード会社でも同様です。
また、ローン契約も一定期間できなくなります。ローンを組む前に、金融機関は信用情報機関のブラックリストを必ず確認するからです。さらに、スマートフォンの分割払いもできません。スマートフォン購入も一括購入をする必要があります。
こうした金融面のデメリットだけでなく、一部の賃貸借契約が難しくなることや子供の奨学金の保証人にもなれません。直接的な契約でなくても保証が絡む契約に問題が出てしまうので注意しましょう。
信用情報機関のブラックリストに掲載されても、家族カードは利用できます。ブラックリストの直接的な影響は、本人にのみ影響し家族には影響しないからです。また、デビットカードの利用もできます。デビットカードは、クレジット機能ではなく、前払い制をとっているからです。
生命保険の加入もブラックリスト掲載は関係ありません。各々の保険の加入条件をみたせば加入できます。
また、ブラックリストの掲載情報は金融機関などしか参照しないので、就職や転職にも直接的には影響しません。
自分がブラックリストに掲載されているかどうかは、情報開示請求をすることで確認できます。信用情報機関は、シー・アイ・シー(CIC)、日本信用情報機構(JICC)、全国銀行信用情報センター(KSC)の3種類がありますが、JICCとKSC加盟の多くの金融機関はCICにも加盟しているため、まずはCICに情報開示請求をするのが適切です。
また、それぞれの信用情報機関で、情報開示請求の方法が異なります。情報開示請求の方法は、信用情報機関の公式サイトから調べることができます。
債務整理の種類によって、信用情報機関のブラックリストの掲載期間が異なります。自己破産の場合、CICは報告日から5年間、JICCは免責許可決定から最長5年間程度、KSCは破産手続開始決定日から10年間程度です。ただし、信用情報機関同士の情報交換も実施されているため、最長の期間を参考する必要があります。したがって、自己破産の場合は10年間はブラックリストに掲載されていると考えておくとよいでしょう。
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